「ピアノは脳の発達に良い」理由（再考その１）

ホームページのコンテンツの中にもありますが、「ピアノは脳の発達に本当に良いのか？」の点について改めて考察してみます。

Ａｍａｚｏｎ 売れ筋ランキング、 本の部で４８位 獲得の話題の子育て本です。

新聞の広告欄で「人生最初の習い事は？ピアノと英語なら、ピアノが勝ち！」の文字が目に入り、早速購入してみました。

著者は５歳の子供から８０歳を超える様なご高齢の方までの、１６万件もの人間の膨大な脳画像を扱う専門機関で研究している「蓄積されたデータから脳の発達を読み解く」スペシャリストです。

最新の研究から「ピアノと脳の相関関係」が判明してきました。

何故ピアノは脳の発達に良いとされるのか？

脳の発達の見地からすると「年齢に応じた習い事がある」事が分かっています。

私の教室もピアノレッスンは３歳半からお引き受けしていますが、この年齢にも理由があります。

ピアノを含めた楽器を演奏するには指先や手首周辺の細かい動作が必要です。この細やかな運動を「巧緻（こうち）運動」といい、巧緻性、つまり器用さは３～５歳の時期に身に付きやすいことが分かっています。

巧緻運動を司る脳の「運動野」と呼ばれる部分は、３～５歳前後に発達のピークを迎えるからです。

例え習い始めの頃はたどたどしくつたない演奏であっても、それが子供にとって無駄になる事はならないそうです。

左右の手で別の音を弾くピアノは、練習をすればするほど左右の脳をつなぐ「脳梁（のうりょう）」と言う神経線維を発達させます。

また考えながら手を使うので、脳と手をつなぐ「錐体路（すいたいろ）」と言う神経ネットワークの発達も見られます。

脳だけでなく、手と脳をつなぐ道も鍛えられるという訳です。

２０１５年、国内の大手電機メーカーが「東大をはじめとする国内難関大学生の約半数は、ピアノを習ったことがある」と言うアンケート結果を発表しました。

勿論ピアノを習えば東大に入れる、という話ではありませんが「ピアノを習う事で脳の発達が進む」可能性は、おおいに期待できます。

やはりメディアでも数多く言われている「ピアノは脳に良い習い事」は本当の事のようです。

今度は「ピアノ」と「言語」について考えてみます。

音楽が英語のヒアリングの力を伸ばす？脳の意外なネットワークについて

脳の内部は「体の動きを司る領域」「視野を司る領域」「音を司る領域」「言語を司る領域」などエリアごとに働きが決まっています。

その中でも「音を司る領域」と「言語を司る領域」は非常に近い場所、ほぼ重なり合って存在しています。

特に３・４歳は言語の発達の時期とも重なります。

ですのでこの時期にピアノ等の楽器を演奏することで、言葉の領域にもよい刺激が与えられると考えられます。

特に男の子は、言葉への興味が湧くのが遅いことも多く、「なかなか言葉が出てこない」と悩んでいる方も多いようです。

そんな時、無理やり書き取りなどをさせると子供が文字を嫌いになって、かえって逆効果になってしまうこともあります。

その様な時こそ、音楽を利用して脳に言葉を受け入れる準備をさせておくというのは、子供にストレスのかからない良い方法だと思われます。

またピアノを習う事で「耳の感覚を繊細にする」効果も見逃せません。

３～５歳の時期に楽器を習うメリットは他にもあります。

「絶対音感」「相対音感」といった「音感」が身に付きやすいと考えられているからです。

音感が幼い頃の訓練でしか身につかないと言われるのは、聴覚の発達との関わりがあると考えられているからです。

聴覚の発達は生後早い時期から始まり、３～５歳くらいの間にはある程度完成してしまうので、絶対音感を身につけるには聴覚が完成する前のトレーニングが必要という事かもしれません。

また音の微細な差を聞き分ける耳を持つと、将来的に外国語を習得したい時にも役立つと考えられます。

「Ｌ」と「Ｒ」、「Ｂ」と「Ｖ」などの発音の違いを聴き取る「ヒアリング能力」は第二言語として英語を習得する上で必要な力です。

物ごごろがつく前に「感度の良い耳」を育てる事は、これからの時代を生きる子供達に有意義な事だと思います。