本気でやると言う事
11月の末は毎年「秋休み」と称する1週間ほどレッスンのお休みがあります。
今年はその間何をやっていたかと言いますと。
「紅茶ソムリエ」認定試験を受験し、無事に合格通知を頂きました。
神戸の三宮にある教室に2年通い続け、やっと取得できました。
とは言え別に最初から「紅茶ソムリエ」を目指していた訳でなく、通い始めた動機は「何となくお茶が好きだし、香りをかぐと癒されるから」と言った極めて軽い気持ちからです。
実際に通ってみると台風や大雪で高速道路が通行止めになる事もあり、橋を通らなければ本州はおろか、他のどの地域にも行くことが出来ない「四国」と言う土地を不便に感じる事も多々ありました。
しかしレッスンそのものは楽しく、「お茶の世界も奥が深いのだな~」とのんきに構えていた矢先、講師の先生から「紅茶ソムリエ」の資格試験を受けてみる事を勧められ、私自身も「ちょっと受けてみようかな?」とその気になり、果たしてそれからが大変でした。
本気で取り組む事の大変さ
受験内容は「筆記テスト」「テイスティングテスト」「模擬レッスンテスト」の3科目に分かれています。
「模擬レッスンテスト」は文字通り、受験生が講師役となって第1回目のレッスンを行うと言う内容です。
こちらの試験は教える内容こそ違えども、普段の私の業務とさほどかけ離れていないので、それ程緊張せずに出来ました。
難関だったのか「テイスティングテスト」でした。
下の写真には7種類の紙コップしか載っていませんが、実際にはもう1つ増え、全部で8種類の茶葉の銘柄を当てると言う試験です。
ちなみに本番の試験の前に模擬試験があったのですが、その時の「テイスティング」はまさかの全問不正解(笑)。
8種類もあるのだから、1つくらいは当たるだろうと楽観していましたが見事に全部間違え、講師の先生を「まあ・・・」と絶句させてしまいました。
汚名を返上するべくそれ以降は、7問正解で合格なので本番は緊張する事も考慮に入れて全問正解になる様に練習しました。
受験日まで毎日2回ずつ、大好きなお酒も我慢して(笑)ひたすら紅茶を淹れて飲む日々が続きました。
そして5種類は何とか当てられる様になったのですが、残りの3種類がどうしても分かりませんでした。
またそれと並行して筆記試験の勉強も必要でした。
世界の主だった紅茶の生産国や生産量、産地の気候や地理条件、アメリカ独立戦争の引き金になった「ボストンティーパーティー事件」などお茶に絡んだ歴史上の事柄等々、学生時代に習った世界史や世界地理の記憶を思い起こしながら暗記の毎日です。
この時点でもはや既に私にとって紅茶は「癒し」でも何でもなく、テイスティングを間違うたびに「何でこんな事をやっているのだろう」と幾度も心がくじけそうになりました。
その時ふと「きっと同じことをピアノの生徒さん達も感じているのだ」と言う事に気が付きました。
頑張りは自分自身のレベルアップ
ほとんどの人は「何となく楽しそう」「○○ちゃんがやっているから私も習ってみたい」という動機でピアノを習い始めるかと思います。
入門当初は習う事全てが目新しく、ワクワクして通うのが楽しくて仕方がないでしょう。
しかしすぐに「ただ通うだけ」ではどうもダメらしいと言う事に気が付きます。
習った事を「復習」して次のレッスンに臨まなければ、新しい段階に進めない事が薄々分かり始めるからです。
しかもその「復習」は、1度や2度やってみただけでは到底クリアできるレベルではなくなっています。
でもそこからが本当の意味でのスタートラインを切ったのだと思います。
何回もチャレンジと失敗を繰り返し、その果てにようやく「どうやらこうすると良いらしい」方向性が見えてきます。
自分が通常どの程度出来る様にしておけは、緊張状態でも平常時の7割位の実力を出せるのかも分かってきます。
ここに至るまでに多くの人が途中で投げ出してしまうのも理解できます。
上手くいかない事は誰だって嫌ですし、逃げ出したくなるからです。
今回の資格取得の為の受験は私にもう一度、「新しい事を学ぶ楽しさと大変さ」を気付かせてくれました。
受験に至るまでの道のりは確かに大変さもありました。ですが頑張った分だけ少なくとも茶葉の銘柄には詳しくなりましたし、誰かにお茶を注ぐ時にもお茶の効能などを考えて、自信を持って淹れてあげる様になりました。
そしてそれによって「美味しい」と言ってもらえると、何よりも私自身が頑張って良かったと思うようになりました。
ただ「楽しい」だけでなく「本気で取り組む」とは「しんどさ」を伴う瞬間もあるでしょう。
しかしそれから逃げてしまうと「結局自分はやり遂げられなかった」と言う事実は、この先ずっと心のどこかに引っ掛かり続けます。
つらくでもちゃんと向き合い乗り越えると、誰にも気づいてもらえなくても自分自身が「ワンアップしたな」と手ごたえを掴めます。
その小さな積み重ねは、いつか周りの自分を見る目を変えさせる事が出来ると思います。
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