レッスンの腕をあげる法則
1985年に初版され、以来ずっと教育関係者の間で読み継がれている書籍です。
著者は元小学校教諭で「熱中する授業は、徹底した『授業の法則』に貫かれている」を掲げ、学校教員に向けて様々な教育技術や学級運営方法など研究しているグループの第一人者です。
本書は主に学校、特に小学校の先生に向けて書かれていますが、教育に従事する人が読んでも「目からウロコ」が落ちるような「どうすれば指導の技術があがるのか」「何をどのように努力していけばいいのか」の要点が簡潔にまとめられています。
私も音楽教室を立ち上げた頃、同業の知人にすすめられて読みました。
学校の様な「一斉授業」と異なり、ピアノレッスンは1対1の個人レッスンのスタイルが多いと思いますが、それでも指導の際に参考になるヒントが10項目にわたって書かれています。
幾つかあげてみたいと思います。
授業の原則 「趣意説明の原則」
(例)「教室をきれいにします。ゴミを10個拾いなさい」等、生徒に指示を出す際には「なぜそうするのか」その意味を説明する必要があります。
「何だか分からないけど行動している」状態ではなく、「こういう目的でこれをやっている」と理解して行動させる事が大切なのです。
そして指示は出来るだけ簡潔に出す事。さもないと聞いている方もだらけてきてしまうからです。
更に上段の指導者の場合になると、「教室を見回してごらん。もう少しきれいにしたいね。自分がこうしたいと思う事をやってごらん。時間は5分間です。」の様に「~のために」という意図だけを説明して、方法は相手に考えさせ任せるレベルに到達します。
授業の原則 「簡明の原則」
指示・発問は出来るだけ短く限定し、10秒から15秒内で述べることとあります。
その為にはより具体的な指示を与えなくてはなりません。
「もっと頑張って跳び箱の練習をしてみましょう」ではなく、「一人が3回跳んだら先生の所に集まります」の様に何をどうするかを具体的かつ明快にして指示を出しましょう。
授業の原則 「細分化の原則」
本書内では「跳び箱の開脚とび」を例に挙げ、動作を細分化する方法を著述しています。
開脚とびの場合、動作は大きく分けて「助走する」「跳ぶ」「着地する」の3点に絞り込む事ができます。
更にそれらの動作を「助走を始める前」「助走を始める時」「助走を始めた直後」などに細分化します。
重ねてその時の「目線」「走り方」等を分解し、それぞれに対し「どうすれば良いのか」という解釈を与える事が必要と説いています。
子供は「踏み切りはドタンと跳ぶのではなく、トンと跳ぶのですよ」の様に映像や音楽として伝えた方が、イメージ化しやすいと書いています。
授業の原則 「激励の原則」
教育の最も根本的な目標は何かと問われたら、それは「人間の生きていく気力を育てる事である」とあります。
良い事は良い事とし、悪い事は悪い事として見つめ、それを克服する方法を生徒達に示し、励まし続けるのが教師の役目であると述べています。
教師とは、生徒たちの悪い点を克服させる技術を勉強し続けなければならず、それと共に絶えず「一緒に克服していく励まし」を隣で与え続ける存在であれと教えています。
常にレッスン室の本棚に置いておき、レッスン内容が思うように捗らない時や指導に迷いが起こった時に、もう何度も読み返しています。
そしてその度に自分の指導を見直すきっかけにしています。
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